■感想など■

2009年08月18日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【6】■■
 一時間目が終わって保健室に行き、ソラ先生の御小言をたっぷり受けると、桂は教室に戻って自分の席で溜息をついた。
 御小言を聞いている間中、学生相談室でソラ先生の「診察」を受けた記憶が甦り、体が“うずうず”しだしていたけれど、なんとか我慢する事が出来たのは、奇跡に近い。
 あの時の強烈な快美感や、耐え切れず失禁さえしてしまった事を思い返すと、こうして机に突っ伏して目を閉じているだけで、無意識に右手がおっぱいに伸びそうになってしまう。
 もちろん、教室でそんな事をすればあっという間に「変態」のレッテルを貼られてしまうのは目に見えているから、鉄の自制心をフルで総動員しなくてはいけなかったのだけれど。

 教室の喧噪はじっとりとした空気に澱んで肌に纏わりつく。
 おっぱいの谷間や下には早くも汗が溜まって、それがむず痒さを生んでいた。
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2009年08月17日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【5】■■
 そんな桂だったから、“ぷるん”とした可愛いお尻を誰かに撫でられた時、つい夢の中で「ぁんっ……」などと鼻にかかった声で甘ったるく呟いてしまって、急に“くすくす”と可笑しそうに笑った誰かの声にびっくりして飛び起きる事にもなる。記憶に残ってはいないものの、夢の中でも“いろいろ”えっちなことをしていたような感じが残っていたから。
 ぼんやりした瞳と思考に投影されるのは、ちょっと頬を赤く染めながらベッドに腰掛けた幼馴染みの子供っぽい笑顔。
「けーちゃん……いくら夏でも、風邪引いちゃうよ?」
 そう言いながら“くすくす”笑う由香の視線を追えば、脚を崩した横座りの膝に引っかかるようにして引き下ろされたパジャマのズボンとパンツ……。
 はだけた毛布の中でしどけなく自慰に耽り、気だるくも心地よい感覚に、精神的にも肉体的にも疲労の溜まっていた桂は、誘われるようにそのまま眠りに落ちていったらしい。
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2009年08月16日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【4】■■
 その気配に気付いたのは、家まであと少し……という場所にある、少し寂しい小道だった。
 カレー屋で水を飲み過ぎたためか、急に尿意を覚え、咄嗟に「近道しよう」と思ったのだ。
 でもそれは、ずうっと前に由香から注意された小道で、角にあるポッカの自販機を曲がって奥へと続く、外灯の無い薄暗い場所だった。

 ほんの、200メートルくらいの道なのだ。

 走り抜ければ、あっという間だ。

 でも、走る事が出来なかった。
 お腹が張って、走ると吐きそうになったから……というのももちろんあるけれど、それよりも、背中に張り付くようなねっとりとした気配に、体が萎縮してしまっていたのだ。
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2009年08月15日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【3】■■
 そして翌日。
 夏休み突入を3日後に控えた、7月15日の土曜日。
 桂は昼過ぎに目覚め、

 ――それからずっとオナニーしていた。

 まるで“それ”を覚えたての猿のようだ。
 “これ以上の肉体の過剰反応を抑えるため”……という大義名分の元、ソラ先生のお墨付きで解禁された自慰は、桂にとってまるで麻薬のようだった。
 決して激しくはない。
 むしろ穏やかですらあった。
 ゆっくりと撫で、擦り、突付く。
 お腹の中――膣内――まで指を入れるのは、絶頂に向かいたい時だけ。
 後は、おっぱいとクリトリスへの刺激だけで、ゆるゆると心地よく生ぬるい快楽に身を任せ、クーラーで程好い室温に設定された部屋の中、ベッドの海でひそやかに身を震わせるのだ。
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2009年08月14日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【2】■■
 その夜、桂は両親の寝室にある母の鏡台の前で、セミロングの艶やかな黒髪をブラッシングしながら考えていた。

 わざわざ母の鏡台を使っているのは、母が“旅行”へと出掛ける前、桂に告げた「いつまでもあんな小さな鏡だと不便でしょ?」という言葉に甘えた結果なのだけれど、確かに、鏡が三面あるといろんな角度から自分の髪を確認出来るから便利だった。
 桂の部屋にも姿見はあるけれど、あれは本当に、立って身だしなみを確認するためのもので、髪とか化粧とかを直すには少し勝手が悪かった。そういう意味で、今まで髪をブラッシングする時や化粧する時は、机の上に置いた小さな卓上鏡だけだったから、母の申し出はちょっぴり複雑で、結構嬉しい桂だったりしたのだった。
 そして今は、のんびりとした風呂上りの体に、洗いたてのライムグリーンのパジャマを身に着け、火照った肌にスキンケア用の保水液を塗り込んだところだった。

 学校から帰ってから、ここのところずっと桂を悩ませていた体の中の“嵐”は、ウソのように沈静化していた。
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2009年08月13日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【1】■■
 目を開ければ、そこには白い天井があり、仕切られたクリーム色のカーテンを透かして明るい日差しがじんわりと部屋を照らしていた。
『保健室……』
 ここでの、もう何度目かわからない目覚めに、桂は自分の置かれた状況を今までで一番早く理解した。
 けれど、自分がここにいる理由がわからない。
 確か、1時間目の授業が終わった後、E組の生徒を捕まえて健司が風邪で休んでいることを聞いたところまでは覚えていた。
 それから、1階の渡り廊下そばの水呑場に行こうとして…………
『……それから、どうしたんだっけ?』
 記憶が、すっぽりと抜けていた。
 5月29日に発熱し3日間昏睡状態に陥って、6月1日に女性体へと変体してから、今日の7月14日でちょうど一ヵ月半になる。
 その間、何度も夢と現(うつつ)が揺らぐような感覚を味わったけれど、ここまですっぱりと記憶が飛んだのは久しぶりの事だった。
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