■感想など■

2011年02月07日

[PAIN]『Piece.02』「おいらにはわからないこと」〜絡み合う二匹のケモノ〜

■■【2】■■

「中に出してもよかったのに……」
 ティファが、くすっと笑みを浮かべながら上半身を起こした。肥大した二つの乳房が、ゆらっと重そうに揺れる。
 その乳房と、滑らかな腹には、白い粘液が飛び散っていた。あれがおそらくクラウドの精液だろう。彼はティファの胎内に放つ事無く、彼女の腹に射精してみせたのだ。
 ティファは枕元のティッシュで、手早く乳房から垂れる彼の精液を拭った。そして次には、タオルでもう一度拭い、顔や手足の汗を軽く拭き取る。その表情はサバサバしており、どこか、スポーツを終えた時のような、トレーニングを終えた時のようなさっぱりとした雰囲気があった。
 少なくとも愛を交わした、とろけるような蜜の香りは無い。
「私、もうちょっとでイクところだったのよ?」
「……すまない」
 クラウドは溜息と共に小さく呟き、ティファが差し出したティッシュを股間にあてがった。おそらく、自分で陰茎についたティファの粘液と精液を拭っているのだろう。
「いいわ。ヴィンに満足させてもらうから」
 ティファはそう言うと床に立ち、イスにかけてあったガウンを素裸に羽織(はお)った。そうして軽く髪を整えると、屈み込んでクラウドの頬にキスをした。
 軽い、挨拶のようなキスだ。
「じゃあね」
 身を翻して入り口に向かって歩いてくるティファに、『彼』は慌てて廊下の暗がりに身を潜めた。
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2011年02月04日

[PAIN]『Piece.01』「にくらしいあなたへ…」〜あなたが抱いてくれるなら〜

■■【2】■■

 素裸になり、ベッドの端に座った彼の両脚の間に跪くと、彼女は自分が彼だけに仕える奴隷か召し使いのように感じて、倒錯的な想いにかられてしまう。傅(かしず)き、降伏する事によって「彼に征服された至福」を感じてしまうのだ。
 誰に抱かれようと、誰に『精』を注ぎ込まれようと、今この時、自分は彼だけのモノであり、彼は自分だけのものなのだ。
 そういう想いである。
 彼女は丁寧に彼のズボンのファスナーを開けると、それがこの世で一番大切な宝物のように、情欲で濡れた瞳で見詰めた。
「ふあっ……くふっ……う……んんっ……」
 愛しそうに舌をはわせ、はむはむと唇で甘噛み、舌全体で頭に溜まったぬめりを嘗めとってゆく。
 溜まった恥垢を奇麗に嘗め、飲みこみ、大きく口を開けて彼を向かい入れる。喉の奥まで彼を誘うと、上顎のこりこりした部分で刺激しながら、たっぷりと唾液をまぶして抜き出した。それらを全て、愛しくて愛しくてたまらない、したくてしたくてたまらない、といった感じで繰り返すのである。今の彼女を見れば、おそらく誰もが彼女をインフォマニア(多淫症)だと思ってしまうに違いなかった。
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2011年02月03日

[PAIN]『Piece.01』「にくらしいあなたへ…」〜あなたが抱いてくれるなら〜

■■【1】■■

 神羅によってブラックマーケットに手配がまわり、既に数ヶ月になる。
 必要な物資は、地下組織アバランチのコネクションを使いなんとか凌いでいたが、彼らとていつも協力的なわけではない。皆、自分達が生きるに必死なのである。
 食料は、モンスターを捕獲し加工したり、木の実や草の実を採取することによって得る事が出来たが、人間には食欲の他にも、押えようの無い欲求が存在する。
 問題は、それを処理するための店に、入る事が出来なくなった事にあった。

 これまで、滞在する街には、必ずと言っていい程“その手の”店が存在し、事実、この旅が始まる以前から、バレットやクラウドなどは、それらの店を利用していたものだ。
 彼らは聖人ではないし、世捨て人でも俗世の汚れを嫌う僧侶でも無い。
 女性ならば抑える事も出来るかもしれないが、パーティを構成するメンバーは、未だ自らの欲求を持て余す世代を生きているのだ。
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2011年01月29日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ 最終章 ■「解放」■■


 電磁ロッド。

 格闘において接近戦を得意とする青年にとって、最も使い慣れた武器である。

パリッ……

 その先端にかけて、紫電が走る。
 ティファが初めに拳底を叩き込んでから、わずか6秒余り。
 辺りに肉の焼ける嫌な匂いと、イオンのツンとした香りが満ち、勝敗は、あっけなくついた。
「レノ!」
 ルードが青年の名を呼ぶ。
「くっ……そりゃあ責めてんのか? それとも心配してくれてんのか?」
 レノは、からかうように相棒を見た。
 答えはわかっている。
 ルードは決してレノを心配などしない。心配する程、レノを見くびってはいないのだ。
「……………………」
「冗談だぞ、と」
 口調に、再びからかうような響きが戻っていた。
「どこにこんな力が残っていやがったんだ?」
 体の自由は、薬で奪っていた筈だ。その薬が切れていたとは考えにくい。
 しかしティファは蹴りを放ったのだ。
 彼女の股間にある性器は、度重なる不本意な性交による内出血と裂傷のため激痛が走り、おそらく常人ならば歩く事も出来ないはずだ。
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2011年01月23日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.12 ■「瞬発」■■

 ルードが「こうしなければならない」理由を、青年は理解した。
 理解してしまった。
 彼は、ティファをただ辱めるためだけに、「こんな事」をしている訳ではないのだろう。
 だが、それはひどく危険な行為ではないか。
 ともすれば、自分の命すら危険に晒すほどの……。
 青年はそれ故に、ルードの「想い」の強さを、今更ながらその胸に感じていた。
『死を賭して捧ぐ愛……ねぇ……』
 青年には、女に命を懸ける男の心がわからない。「わかりたくもない」というのが、正直なところだ。
 幼い頃、母親に捨てられ、売られて、少年時代を男色家の慰み者として育った自分にとって、女とは奪い、傷つけるモノではあっても、けして愛を捧げる対象では無いのだ。
 スラムでは珍しくない事だが、世界で唯一母を信じて生きてきた少年にとって、母親のその仕打ちは、少年の心に深い傷を残してしまった。
 今、彼にとって信じられるのは、共に死線を越える事の出来る相棒だけだ。
 身体を休める安息の場所など、自分には必要の無いものだと……彼は思っている。

「ひいいいいんっ!!」
 ひときわ高い啼き声が、青年の意識を現実へと引き戻した。
 デスクにうつ伏せに上半身を乗せ、たっぷりと豊かな豊乳をひしゃげさせ、後ろからルードに貫かれながら、素裸のティファが尻を振っている。
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2011年01月22日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.11 ■「性具」■■

「また行くのか?」
 神羅ジュノン支社。
 数ある特別室の中で、ただ一箇所、タークスルームとして使われる支社のゲストルームのみに存在する天然木材の扉。
 その重厚な質感の扉を開け、部屋から一歩を踏み出した途端、ルードは、入り口の左に立つ赤毛の青年の、少し皮肉めいた、いつもの声を聞いた。
「…………」
 答えず、無言で扉を閉める。
「もう2日になるぞ、と」
 青年を無視し、歩き始めたルードの背中に、再び声がかけられる。
「いい加減にしないと、ツォンさんにどやされるぞ、と」
 タークスリーダーの名に、ルードの眉が反応した。
 彼は、歩みを止め、ほんの一瞬逡巡したが、ようやく、諦めたように口を開いた。
「問題無い」
 そして、再び何も無かったかのように歩み始めた。
 赤毛の青年は、壁にもたれたままガリガリと頭を掻き、顔を顰める。彼の相棒は、本来ならば与えられた職務を放棄して、その上、神羅の社員を上部に無断で使うような男ではないのだ。
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2011年01月16日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.10 ■「怨嗟」■■


 ティファは解放された。

 ルードから……「薬」から。
 だがそれは、おそらくつかの間の事でしかないのだろう。
 なぜなら彼女は、まだこの部屋から解放されてはいないのだ。


「…………………………」
 ティファは唇を噛み締め、がくがくと震える腕で体を支えてソファから身を起こした。
 そしてルードが出ていったドアを、殺気に満ちた目で見つめる。
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2011年01月15日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.09 ■「虜囚」■■

 部屋の一面を支配する、大振りな窓に寄せた重厚な木製のデスクの上で、白い肉体がうねっていた。
 匂い立つように、汗でてらてらと濡れ光る淫猥で美しい肌は、適度に日に焼け、健康的な色で、見るものの眼を打つ。

 ティファ=ロックハート

 かつて、ほんの少し前まで、そう呼ばれていた肉体の名だ。
 デスクの上で、ティファは白い腹を見せ、両脚をいっぱいに開いたまま、荒い息で体を震わせていた。
 既にその体に、衣服は無い。
 ただ、片方の靴下が名残惜しそうに、その身を纏わりつかせているだけだ。
 その代わりに、全身を汚らわしい……しかし、とてつもなく心地良い、甘美な気だるさが覆っていた。

はーーー……はーーー……はーーー…………

 深く、大きく息は吐き出される。
 その度に、ゆらゆらと豊かな乳房が揺れた。
 あれからどれほどの時が流れたのだろう……?
 テーブルの上で、ソファの上で、そしてデスクの上で、ティファは、口を犯され、上から……後ろから犯され、後ろの『蕾』さえも蹂躪された。
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2011年01月09日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.08 ■「空蝉」■■

 禿頭(とくとう)の巨漢ルードは、眼前で繰り広げられるティファの痴態に、何の感慨も抱かなかった。
 いや、抱かないようにしていた。

 「モノ」なのだと。

 そう思うようにしたのだ。

 この「オンナ」は、「モノ」だ。
 無理にでもそう思う事で、自分の中のティファが汚れ、堕ちるのを防いでいる。
 彼の中のティファ=ロックハートという娘は、自分に、自分の生き方に誇りを持ち、どんな困難にも、どんな危機にも立ち向かい、己の力で道を切り開く、「強い女」である筈なのだ。
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2011年01月08日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.07 ■「哀願」■■

 目の前で、白い、白桃のような尻がゆらゆらと揺れていた。
 ティファが懸命に、彼を『胎内』に向かい入れようと揺すっているのだ。
 けれど、ルードは肉体的な興奮状態にありながら、その魂が冷えて行くのを感じている。
 そこに「愛」はない。
 相手を「慈しむ心」はない。
 心を「シフト」させ、温かい、人間らしい感情を、心の片隅に追いやったのだ。
「あーーーー……あーーーーーー……」
 痴呆のように涎をしたたらせ、彼に尻を捧げるティファは、既に理性を無くしてしまったのではないかと思わせる。ルードは、ティファの尻の上半分を隠していたスカートをぐいっと掴み、背中の方へ押しやって、その丸みを剥(む)き出しにした。
「……くう……ん……」
 ティファが甘えたように鼻を鳴らし、彼の方へ押し付けるように尻を突き出す。彼が触れた事によって、甘い期待感に胸を膨らませ、耐え切れないとでも言うように、ぶるぶると体を震わせていた。
 彼が両手で掴んだ、白くて艶やかなティファの尻のその丸みの狭間では、大輪の『花』が咲き誇っている。ルードは身を屈め、その『花』を凝視した。
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2011年01月06日

[PAIN]『Piece.02』「おいらにはわからないこと」〜絡み合う二匹のケモノ〜

■■【1】■■


 生物の、最も重要な役割とは何だろう?

 それを、『彼』は考える。

 『彼』が慕い、絶大の信頼を寄せる老人は、
『自分の“魂の設計図”を、子供に受け継ぐ事じゃよ』
 と言った。
 “魂の設計図”は、「いでんし」とも言われていた。
 生き物は全て、その“魂の設計図”を、過去から未来へと受け継ぎ、受け渡してゆくために生まれてくるのだ……と。
 そのために生き物は「番(つがい)」となり、自分にとって最も相性の良い“魂の設計図”を子供に受け渡すのだと。
 そうして生まれた子は、父と母の良い所を受け継ぐ。
 それを己の子供に伝えるために。

 『彼』の種族は、長命で頑強であるが故に、食物連鎖の頂点に位置し、子供であっても容易に他の生物の餌食になるような事は無かった。
 そのために“滅び”はゆるやかに訪れ、虫食み、『彼』の種族は減少の一途を辿った。
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2011年01月02日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.06 ■「畜生」■■

 ティファが初めて“男”をその身体に迎い入れたのは、今から3年程前になる。
 それは、決してロマンチックなものでも、心に残る甘い記憶でも無かった。それどころか、出来れば心の中から消し去りたい、汚らわしい記憶であった。

 ティファに「オンナの悦び」を教え、何回も何十回も抱いて花開かせ“開発”していったのは、取るに足らない、つまらない男だった。まだ硬さの取れない彼女の体を、毎晩のように押し開き、自らを埋め込む事だけに楽しみを見出すような、そんな男だったのだ。
 その男には、たった6週間の間ではあったが、およそ人として、女としてされたくない事したくない事を、あらゆる方法で実行し、実行させられた。騙し討ちのように薬物で正気を失わされ、その男に破瓜を奪われてから、昼となく夜となく、男が望む時に体を開き、襲い来る禁断症状に震えながら男のモノを咥えた。
 爛(ただ)れ、屈辱にまみれた6週間だった。
 故郷を失い、拠るものすら失った彼女は、ただ無気力に体を開き続けたのだ。
 その一月半の間、大勢の男達に注ぎ込まれた「精」と薬物は、男達に弄ばれたティファの体に染み込み、彼女の体を劇的に変える要因となった。
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2011年01月01日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.05 ■「陥落」■■

 ぴちゃぴちゃと、黄金色の液体は、皮張りのソファから滴っていた。
「はっ……はっ……はっ……はっ……はああっ……」
 激しく、剥き出しのお腹を上下させ、ソファに半ば埋もれるようにしてぐったりとなったティファは、今だ、裸の右乳房を優しく捏ね上げるルードの手に、無理矢理快感を呼び起こされようとしている。

ぴちゅ……

 小水で汚れた下着はすっかり濡れそぼり、肌に張りついて不快感を生む。
 しかしそれよりも……。
「やめ……」
 言葉は途切れた。
 ティファは手をぎゅっと握ったまま、腕で目を隠した。
 ルードの無骨な手が、信じられないほどの繊細さで、自分の剥き出しの乳房を揉み上げるのを、見ていられなかったのだ。
 体の中を、まだ嵐は蹂躪している。その「疼き」と「熱さ」に導いた気だるさで、彼女が立つ事も出来ないのが、その証拠のように思えた。
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2010年12月26日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.04 ■「奈落」■■

 頭の芯が、熱く、痺れていた。
 自分が、今、正常な思考が出来ない状態にいるという事だけ、わかった。
 だが、「なぜ」そうなのか?
 「どうして」何も考えられないのか?
 それがわからなかった。
 ぼんやりと意識に上るのは、決して負けてはいけないという事だけ。
 しかし、それすらも危うい。
 「どうして」負けてはいけないのか?
 「何」に負けてはいけないのか?
 ゆらゆらと頼りなく揺れる意識の中で、ティファは心細さに泣き出しそうだった。
『クラウド……クラウド……クラウド……』
 愛しい人の名を呼ぶ。
 けれど、そうして顔を思い浮かべるだけで、身体がどんどん熱くなるのを止められない。
 ソファの上で身を縮め、自らの肩を抱きながら、必死に身体の中を荒れ狂う嵐に、ただ、耐えていた。
 彼を抱きたかった。
 彼に抱かれたかった。
 ずっと。
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2010年12月25日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

 ティファは、目の前で何も言わず、黙々と酒を飲み続ける男を、何とも言えない思いで見ていた。
「……どういうつもり?」
 バレットと引き離され、神羅兵に、この部屋に連れられて来てから半時、男は、酒瓶と氷とグラス二つを持った女と共に入ってきた。
 女を人質にして逃げるという手も、一瞬だけ考えてもみた。だが、結局神羅兵に連れられてくる途中でも、本気で抵抗しようという気などはただの一度も起きなかった。
 もう、何もかもどうでも良かったのかもしれない。

 テーブルに酒を置くと、女は一礼して部屋を出ていった。
 テーブルと、大きな4人掛けのソファが二つ。部屋の隅には大ぶりなデスクと椅子が一組。その後ろには、大きな窓があり、海が一望できる。
 陽は水平線に沈み、残照が空にオレンジから紫、濃いブルーへと、美しいグラデーションを描いていた。
「私に……何の用なの? ルード」
 特殊ガラスを遮蔽(しゃへい)モードに切り替えて半透明にすると、ルードはティファの向かいのソファに座り、おもむろに厚手のダンブラーでロックを作り始めた。彼を観察するようにじっと見ていたティファは、彼が二人分のロックを作り終えても何も話さなかったが、彼がただ黙ってグラスを傾け始めると、10分後にはとうとう痺れを切らして自ら問い掛けたのだった。
 彼女の目の前には、たった今ルードの作ったロックが置かれている。彼がまず自分から飲んだのは、「毒は入っていない」という意思表示のつもりなのだろう。サングラスの奥に隠された瞳からは、何も窺い知る事は出来ないが……。
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2010年12月19日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.02 ■「逡巡」■■

「このままだと、あの娘は壊れちまうぞ、と」
 部屋に入ってきて開口一番に、その青年は言った。
 相変わらず、着崩した制服が一見だらしなく見えるが、彼にしてみればこれが彼のスタイルらしい。それでも決して不潔に見えないのは、きちんと身ぎれいにしているからだろうか。
「何の話だ?」
 窓の無い部屋の奥、普段は滅多に机に向かわないこの部屋の主は、うっそりとしたその巨体を皮張りの椅子に窮屈そうに身を押し込め、サングラス越しに青年へ視線を送る。
「…………字……見にくくねえか?」
 青年はドアにもたれ、呆れたように彼を見ていた。

 青年も巨漢も、その眼光と身のこなしから、共に只者ではないと思わせるが、れっきとした「企業体」の構成員(社員)であり、総務部調査課のメンバーである。
 もっとも、カンパニーの総務部調査課とは言っても、その仕事はデスクワークを主とする訳ではない。毎日のように世界中を飛び回り、主に会社の暗黒面を担当する、真のエキスパートなのだ。裏の仕事を主とするため、デスクも本社ビルの中にありながら、他の社員にもその場所を知っている者は少ない。しかも、カンパニーの現社長、ルーファウスの護衛時には、数週間に渡り本社を留守にする事さえあるのだ。
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2010年12月18日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.01 ■「呪言」■■

 「この事……あの人の前で口にしたら……私、許さない……。ううん……殺すわ。絶対に……」
 皮張りのソファの上で、いまだその白く、柔らかでありながらしっかりと引き締まった尻をむき出しにしているオンナに、彼は無言で視線を返した。吐息も荒く、気だるさを纏わりつかせた顔をソファに付けたまま、彼女は目だけを光らせて、男に言い放ったのだ。
 部屋には、汗と、タバコと、酒と、そして、オトコとオンナの情事の生々しい残り香が充満している。
 彼女のぷっくりとした白い尻から、とろり……と自分の精が滑り落ちるのを見ながら、男はゆっくりと紫煙を揺らし、胸一杯に苦みを吸い込んだ。
「…………………………」
 言葉は無い。
 口にする言葉など持たなかったし、また、話そうとも思わない。
 彼は、そういう男だった。

         §         §         §

 彼女を初めて見た時の事を、彼は、まるで昨日の事のように思い出す事が出来る。

 その時彼の胸には、何か、言いようの無い“想い”が広がった。それは、久しく忘れていた遠い日の、小さな『疼き』にも似た感覚だった。
 太股まである、長く、艶やかな黒髪。すっきりとした顎の線と、凛とした瞳の光は、彼女の意志の強さを感じさせる。少し垂れた目尻は、彼女の顔を冷たい印象にせず、愛敬のある可愛らしいものにしていた。そして、口紅を塗っている訳でもないのに、情熱的な紅い唇は、濡れたように艶やかに彼女の言葉を紡いだ。
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